☆温度環境

生息域であるオーストラリア内陸部は夏場の気温が最高38℃〜最低24℃、冬場で最高21℃〜最低6℃くらいのようですが、砂漠地帯はもう少し過酷でしょうか。

一般的にはできるだけ生息地の環境にあわせる方が良いといわれてますが、温度環境だけをそのままケージ内に持ち込むのは危険です

現地のトカゲ達は当然暑い時は物陰に隠れて涼をとり、寒い時には地中に穴を掘って暖をとっている事でしょう。

ケージ内という狭いスペースでは、現地の生活環境をすべて再現することは不可能ですから、意識的に冬眠やクーリング等を行わせない限り、温度についてはある程度快適な範囲内で設定すべきと考えます。

狭いケージ内といえども多少の温度勾配ができますので、生体に好きな温度を選ばせる位のつもりで設定します。

温度設定の目安としてはライト直下で40〜45℃、ライトから一番遠い所で25〜28℃位でしょうか。

日中、ずっとバスキングしているようだと温度が低過ぎる事も考えられるし、まったくバスキングしないようだと温度が高過ぎる事も考えられます。

ライト直下は当然温度が高ので、一番温度の低い所を基準に管理をすれば良いと思います。

☆飼育設備

フトアゴヒゲトカゲを飼育するためには、ケージ、バスキングライト、紫外線灯等が必要になります。初期設備には結構お金がかかりますが、ある程度の投資をしておいた方が後々楽になります。

飼育設備や環境については必ず生体導入前に整えておいてください。

○ケージ
生体が30pくらいまでだと60サイズ(60×30cm)以下でも十分飼育できますが、アダルトになると40pを越えますので、できれば最初から90サイズ(90×45cm)以上のケージがおすすめです。
アダルトでも単独なら60サイズで飼育可とされてるのをよく目にしますが、60サイズといっても奥行きが45cm(60×45cm)あれば可と思ってください。
やはり60×30cmではアダルトにとっては狭く動きづらい感じがあります。
通常の水槽(上が開いてるもの)は上から脱走することが良くあります。必ず蓋をするか、高さが高い水槽だと脱走予防になります。
材質はガラス、木材等一般的な材質であれば問題ありません。
前開きの爬虫類専用ケージが使い勝手や脱走予防の面で良いと思いますが、値段が少し高価です。
木製の手作りケージが色々工夫ができて一番良いのかもしれませんね。
安価な衣装ケースも利用可能ですが、ライトの熱による変形や火災の恐れがあるためおすすめはしません。特に最初のケージは様子が観察しやすく、冬場の保温のしやすさを考えてガラス水槽か木製ケージが良いと思います。
冬場にはケージごと発泡スチロール板や建築用断熱材で囲って保温すると効率的です。
○バスキングライト(ホットスポットライト)
バスキング室内飼育環境下においては太陽光が届きづらく体を温める事ができません。
そこで、体温を上げる事を目的のバスキングライトを設置します。
バスキングライトは爬虫類用のライトが色々ありますが、通常のレフランプ等でも効果は同じようです。
夏でも冬でも室温が一定の部屋で飼育できればバスキングライトは1種類で十分なのですが、一般的には季節により室温が変わりますので、ワット数を何種類か用意し、ワット数と取り付ける高さで温度を調整した方が良いと思います。
冬場に温度が上がらない場合、短時間では直接命に関わる事は少ないですが、夏場のオーバーヒートは短時間でも命に関わる事があるので特に注意が必要です。
目安としては60ケージで40Wと60W、90ケージでは40W〜100Wのバスキングライトを用意しておくと安心です。
設定温度としては、ケージ内でできるだけ温度勾配ができるように片側に寄せて設置し、バスキングライト直下で40〜45℃、ライトから一番遠い所で25〜28℃が目安で、季節や状態等により温度を多少変えたりします。
生体が好きな温度を選んで活動するような温度が理想です。
バスキングライトは太陽光の代わりですので、朝に点灯させ夜には消灯します。
○紫外線灯
紫外線灯 直接太陽光の届かない室内飼育下においては、紫外線灯を設置して紫外線を補ってやる必要があります。
紫外線灯には蛍光管式やHIDランプやメタルハライドランプ(通称:メタハラ)等の高輝度放電ランプがあります。
安価なのは蛍光管ですが、高価でも太陽光に一番近いとされているメタハラが良いという話を良く聞きます。
蛍光管の場合は温度がほとんど上がらないため、バスキングライトとの併用になりますが、メタハラの場合は温度を上げるものがあり、バスキングライトと兼用できる場合もあります。
紫外線灯から放射される紫外線は太陽光のものに比べ、はるかに放射量が少ないといわれており、紫外線要求量が多いとされているフトアゴヒゲトカゲに対しては太陽光の代わりには決してならないようです。
あくまで太陽光の補助として考え、可能な限り日光浴をさせた方が良いと考えます。
紫外線灯は朝に点灯させ夜には消灯します。

注意:一部のハロゲンランプで、UVBも照射と記載されている製品がありますが、どんなハロゲンランプでもUVBはほとんど出ていませんので、紫外線灯の代わりにはなりません。
これはUVBを十分照射できる程の温度に耐えられるフィラメントが存在しないためです。
つまりフィラメントを使っている電球ではフトアゴ飼育に必要な紫外線量は確保できないってことです。
○ナイトランプ(夜間保温球)
ナイトランプ 夜間の温度が下がる冬場等には、ナイトランプを設置してケージ内の気温が下がり過ぎないようにする必要があります。
フトアゴヒゲトカゲは背中から熱を吸収するとともに、暖かい空気を吸って肺で血液を暖め、その血液を循環させ体全体を暖めますので、ケージ全体の空気を暖める事を考えなくてはなりません。
意識的に冬眠させたりクーリングさせたりする場合以外は、夜間の最低気温が20℃を下回る場合には点灯させた方が良いと思います。
電球タイプやセラミックヒーターがありますが、どれを使ってもそんなに差がないような気がします。
○フィルムヒーター(シートヒーター)
フィルムヒーター 遠赤外線効果で床材の下から生体のお腹を暖める器具にフィルムヒーターがあります。
特に床材に熱伝導率の高いもの(砂やガラス等)を使用している場合は、気温は適温であっても床材自体の温度が下がる場合があり、床材の温度が下がると生体のお腹を冷やして消化不良を引き起こす場合があります。
フィルムヒーターは通電してもあまり温度を感じない場合がありますが、直接生体を乗せたりして暖めると低温火傷を引き起こす事があります。
あくまでも温度を上げる目的ではなく補助的なものと考え、ケージの下に設置する方が良いと思います。
設置する場合はケージの床面の3分の1から2分の1を目安とし、必ず逃げ場を作ってください
○タイマー、サーモスタット
サーモ&タイマー バスキングライトや紫外線灯を管理するには24時間タイマーがあると便利です。
朝何時に点灯、夕方何時に消灯ってのを設定しておくと自動で点灯、消灯してくれます。
また、ナイトランプやフィルムヒーターを管理するにはサーモスタットがあると便利です。
ケージ内の温度が何度以下になったら自動でスイッチが入ります。
なかにはタイマーとサーモが一体となった製品もあり、1台で照明も温度も管理できるので結構便利です。
○温度計、湿度計
温湿度計 ケージ内の環境を設定する上で、温度は特に重要なファクターとなります。
ケージ内の温度が常に測定できるよう温度計は設置しておいた方が良いと思います。特にデジタルの温度計は離れたところからでも見やすくておすすめです。
また、湿度の高低により、生体の状態に影響を与える場合もあるので、湿度計もあった方が良いと思います。
○シェルター
シェルター シェルターの設置については必ず必要ってわけではありません。
バスキングライトや紫外線灯の光から身を隠したり、外界からの刺激を緩和してストレスを軽減させる効果を発揮できる場合もあります。
導入当初で環境に慣れていない場合や同居の個体からストレスを受けているような場合は設置した方が良いかもしれません。
設置する場合は、生体の体がすっぽり隠れるとともに生体が挟まれたりしないよう多少重量があり安定した形状のものが良いと思います。
○水入れ
水入れ 水入れの設置についてはあった方が良いって程度でしょうか。
通常フトアゴヒゲトカゲは餌として食べたものから水分を摂取しますので、水入れを設置してもそこから水を飲む個体はあまりいないようです。ただこれも個体差があり水入れからゴクゴク水を飲む個体もいますし、多少はケージ内の乾燥対策にもなるかもしれません。
水入れは皿状の容器をよく使いますが、ケージに入れておくと特にベビーは必ずといっていいほど中に浸かったりして水を床材の上にこぼしますので、床材が水に濡れて支障が出ないか確認しておいた方が良いと思います。
○床材
床材についてはこれが一番良いっていうものは見つかりません。
それぞれ一長一短がありますので、選ぶのが一番難しいといっても良いかもしれません。
床材を敷く目的としては、まず、爪を立たせて生体を動きやすくさせるということでしょうか。
フトアゴヒゲトカゲはしっかり床に爪を立てて歩くため、ガラス面やスベスベの木材の上では滑って歩きづらそうにします。しっかりと爪のかかる床材を選ぶ事は、爪の伸び過ぎを防ぐ事も期待できます。
次に、メンテナンスのしやすさでしょうか。床材を敷くことによって糞などの排泄物をなるべく簡単に処理できるようになると飼育が楽になります。
ものによってはケージ内の雰囲気作りに役立つという利点もあります。
床材を選ぶポイントとしては、一番に誤飲しないものあるいは誤飲しても問題がないということです。餌と間違えたり、餌を食べる時に一緒に食べてしまう等この手の事故は結構耳にします。あとは清掃のしやすさ、価格の安さ等を考慮して選択することになります。
・新聞紙
床材としてよく使われているのはコストの安さから新聞紙でしょうか。
新聞紙だと汚れたら新しいものに取り替えるという使い方になります。
ただし、新聞紙は爪がかりが悪く滑りやすいため、特に幼体だと歩行障害を起こす可能性があるという話があり、また、印刷物のインクが体にあまり良くないっていう意見もあるようです。
見た目もあまり良くはありませんのでコスト&メンテナンス重視って感じでしょうか。
・砂
砂 砂も床材として多く使われています。砂漠に生息するというイメージからケージ内の雰囲気はとても良くなりますが、どちらかといえば乾燥しやすい床材ですので、保湿に気を配る事が必要かもしれません。
砂といっても色々種類があり、本物の砂漠の砂やカルシウムを含む砂等、目の粗い物から細かい物まで色々ありますが、水入れの水がこぼれたり水分の多い排泄があるので水を弾くか浸み込むかだけは事前に確認しておいてください。
床材にはどうしても排泄物の臭いが染み込むので水洗いできる砂の方が経済的なようです。
また、砂を床材に使う場合に気になるのは、餌と一緒に誤飲してしまう事です。
生体が健康な場合は、目の細かい砂であれば少量飲み込んでも問題なく排泄されるようでが、たまに調子を落とした生体(フトアゴヒゲトカゲではないのですが)が腸に詰まらせてしまうなんていうケースもあるようです。
定期的な全交換とこまめなメンテナンスが必要です。
・土
園芸用の赤玉土、黒土、ピートモス、ヤシガラ土等があります。
土は保湿性に優れているとともに、深さがあれば穴を掘って温度調整や巣穴ができるメリットもあります。
逆にいえば、ダニやショウジョウバエの温床になったり、生体の体が泥まみれになり乾燥すると動くたびに土埃が舞うって事にもなりえます。
湿度管理のこまめなメンテナンスと定期的な全交換が必要です。
・ウッドチップ・ ウッドシェイブ
いわゆる木くず・おがくずですが爬虫類用として色々商品化されています。
消臭効果があったり見た目が良さそうだったりしますが、先端が尖った物や粗悪なものもあるようです。
温度・湿度の管理状態によってはダニの温床となったり、粉じんが舞ったりするのでこまめなメンテナンスが必要です。また、定期的な全交換も必要です。
・猫砂、ペットシーツ
消臭効果や水分吸収固化を特徴とした製品がたくさんあり、最近ではクルミやおから等の天然素材を原料とした製品もあるようです。
種類が多いので製品選びがポイントとでしょうか。
・コルクシート
コルクシート(厚さ1〜3mm程)は爪がかりが良く、排泄物の除去も比較的楽に行えるのですが、どうしても排泄物の臭いが染み込むため定期的な全交換が必要になります。また、コルクカスも出るためこまめな掃除が必要となります。
・人工芝・ビニールマット
人工芝は餌と間違えて食べないように芝足の短いものが良いと思います。
ビニールマットは表面がでこぼこして爪がかりが良いものをケージの底面の大きさに合わせてカットして使います。
汚れたら丸洗いして何回も使えますが、ケージの底面との間に湿気がたまることがあるので、定期的に洗った方が良いようです。